Anaplan Forecasterで始める売上予測!架空のアニメ実績データで検証してみた
きっかけは、アニメ好きの役員からの一言でした。
「アニメの売上予測ができるもの、Anaplanで何か作れない?」
要件は何も決まっていません…。
どのデータを使うのか、どの粒度で見たいのか、そもそも何のための予測なのか、普段の案件なら最初に固めるところが、全部空白の状態からのスタートです。
こういう相談は、実は珍しくありません。「予測もやってみたい」という声はよく聞きます。ただ、そこから先に進まないケースが多いのです。理由を聞くと、例えば、データサイエンティストがいない、専用のAI基盤を立てる予算がない、予測に使えるほどデータが整っていない等があります。
今回、その「空白の状態」から Anaplan の Forecaster を使って、アニメの地域別×作品別の(グッズ、興行収入等を合わせた)売上金額を予測するモデルを実際に組んでみました。使ったのは過去の売上実績金額だけ。追加の説明変数は用意していません。
※本記事で扱うデータはすべてサンプルであり、実在の作品・実績とは一切関係ありません。
この記事では、実際に手を動かして分かったことや動かすまでに必要なこと、動かしてみての気づき、そして「予測をどこでやるべきか」を判断する軸を共有します。
1.「売上予測はデータサイエンティストの仕事」だと思っていませんか
予測の話をすると、多くの現場で最初に出てくるのが「うちにはそれをやれる人がいない」という反応です。
たしかに、需要予測を専門領域として突き詰めるなら、統計モデルの設計や特徴量の設計といったスキルが必要になります。ただ、計画業務の現場が本当に求めているのは、論文レベルの精度ではないことも多いです。例えば、「来期、この地域のこの作品はだいたいどれくらいの着地になりそうか」の当たりをつけて、そこから人の議論を始めたいということであれば、必要なものはぐっと少なくなります。
もう一つよく聞くのが、「予測をやるなら、まずデータを整えないと」という声です。これも半分は正しいのですが、順番が逆になっていることがあります。どんなデータがあれば予測が良くなるかは、一度予測を動かしてみないと分からないからです。完璧なデータセットを目指して準備を続けているうちに、プロジェクトそのものが止まってしまうというのが一番もったいないパターンです。
2.アニメの地域別×作品別売上を実績金額だけで予測する
今回のデモは、まさにその逆をやってみたものです。手元にある実績金額だけで、まず動かしました。

作ったモデル(アニメとAnaplanの造語でモデルを「Animeplan」と命名しました。)の構成はシンプルです。
※現在月を2026年4月としているため、実績が2025年4月~2026年3月まで、予測値は2026年4月~9月まで。
・予測の粒度:地域(東京、大阪、名古屋) × 作品(作品A-1、作品A-2、作品A-3、…) × 月
・インプット:過去1年分の売上実績金額のみ
・アウトプット:同じ粒度での売上金額の予測値(6か月先まで)
システム構成としては以下のイメージです。

Forecaster は Anaplan プラットフォームに組み込まれた予測機能で、時系列の実績データから機械学習ベースの予測を生成します。ポイントは、予測のためにデータを外に出さなくていいことです。CSVに書き出して別のツールに読み込ませ、結果をまた戻すという往復が発生しません。
予測の設定も画面上の設定で完結します。
実績データの選択(データコレクション)→使用する計算方法、いわゆるアルゴリズムの選択(フォーキャストモデル)→出力先の選択(フォーキャストアクション)の3工程をAnaplan上で設定すれば完了です。

実際に動かしてみて印象的だったのは、予測結果が自分が思っていたものと乖離があった(例:画像の赤枠部分の明らかに跳ねるはずのところが平坦に出ている。)というところです。

今回はいくつかあるアルゴリズムから1つを選択して動かしてみたので別のアルゴリズムであれば、結果はまた違うのだと思います。
3.予測の「置き場所」をどう選ぶか — 判断の3つの評価軸
予測をやりたいと思ったとき、選択肢は一つではありません。今回のようにプランニングツールの中で完結させるほか、外部のAI/BIツールを使う等も選択肢となります。
大事なのは「どれが優れているか」ではなく、自社の目的に対してどの軸を重く見るかです。今回のデモを通じて、判断の軸は次の3つに整理できると感じました。
1. 予測結果が、そのまま計画に反映されるか
予測値は、出しただけでは価値になりません。その数字が計画に取り込まれ、部門間の議論の土台になって初めて意味を持ちます。
ここで効いてくるのが、予測とプランニングが同じ場所にあるかどうかです。別のツールで予測を出す構成にすると、予測値を計画モデルに戻す工程が毎回発生します。月次で回すサイクルなら、この受け渡しがそのまま運用負荷になります。予測を計画業務の中に置けるかは、精度と同じくらい重要な軸です。
2. 現場の担当者が、自分で回せるか
初回の構築は外部に任せられても、毎月動かすのは現場です。パラメータを少し変えて再計算したい、新しい作品を追加したい、そのたびに専門部隊への依頼が必要な構成だと運用が続きません。
見るべきは「誰が触れるか」です。コードを書かずに設定できるか、予測の根拠を担当者自身が説明できるか。予測が「ブラックボックスから出てきた数字」になると、現場は最終的にその数字を使わなくなります。
3. データの受け渡しに、どれだけ工数がかかるか
予測プロジェクトの工数は、モデルよりもデータの整備と連携に食われます。抽出、加工、投入、結果の取り込みというこの経路が長いほど、試行回数が減ります。
「まず小さく試したい」段階では、精度よりも試行回数を稼げる構成かどうかが効きます。今あるデータでその日のうちに一度回せるかは、実は大きな差になります。
この3軸で見ると、突き詰めた予測精度そのものが目的なら専門的な基盤に軍配が上がる場面もあります。一方で、「予測を計画業務のサイクルに乗せたい」という目的であれば、プランニングツールの中で完結させる構成が有利です。今回のデモはまさに後者を確かめるものでした。
まずは、今あるデータで一度動かしてみる
今回作ったのは、あくまでデモです。実績金額だけを入れた最小構成で、精度を追い込んだものでもありません。
それでも確認できたことがあります。予測を始めるためのハードルは、多くの人が思っているより低いということです。専用のデータサイエンス基盤も、専門人材の採用も、完璧に整ったデータセットも、最初の一歩には必須ではありませんでした。
そして一度動かすと、次に何が必要かが見えてきます。この粒度では実績が足りない、この作品は別の説明変数が要りそうだ、この地域は季節性が強い、こうした気づきは、予測を回してみて初めて手に入るものです。準備を続けている間には、絶対に出てきません。
もし社内で「予測もやりたいが、何から手をつけるべきか分からない」という話が止まっているなら、まずは手元のデータで一度動かしてみることをおすすめします。FREEDIAでは、こうした小さな検証から一緒に始めるご相談も受けています。今あるデータで何ができそうか、という段階からでもお気軽にお声がけください。
参考
Anaplan Forecaster(公式製品ページ)
Forecaster | Anapedia
Algorithms | Anapedia











