Claude Codeを組織導入して仕事を効率化した1か月の試行錯誤~事例を添えて~
個人でAIコーディングを試して衝撃を受けたエンジニアが、それを組織に広げようとした1か月の記録です。Salesforce業務を軸に、スキル管理の悩みからスライド生成、テスト自動化、そしてこの記事自体の執筆まで。うまくいったことも、まだ課題が残ることも、そのまま書きます。(2026/7現在)
きっかけは「衝撃」と「やっちゃえ」
個人では以前から、簡単なWebアプリをいわゆるVibe Coding(AIとの対話ベースでコードを書いていく開発スタイル)で作っていました。正直、衝撃でした。仕事ではCodexを使ってSalesforceの開発支援のようなことはやっていましたが、この衝撃をもっと社内に広げたい。そう思っていたところに、ボスから「やっちゃえ」と号令が出ました(笑)。
こうして、Claude Codeを個人ツールではなく「組織の道具」としてSalesforce業務含む会社全体の事業へ組み込むチャレンジが始まりました。
Claude.mdの限界、Skillsへ
最初に着手したのはClaude.md(プロジェクトにコンテキストを与える設定ファイル)の作成です。ところが、すぐに壁に当たりました。
ひとつは肥大化。もうひとつは弊社特有の事情で、AppExchange製品の開発と顧客支援での開発という、観点がかなり異なる二つの業務があることです。これを一枚のClaude.mdで表現するのは難しく、常にコンテキストを消費し続けるのも嫌でした。そこで、必要なときに必要な知識だけ読み込まれるSkill(スキル)として切り出す方針に転換しました。
「同じスキル、作ってない?」— 管理の試行錯誤
スキル化を進めると、次の課題が見えてきます。一緒に取り組んでいるメンバーとはかなり細かくコミュニケーションを取っていたつもりだったのに、ある日「これ、同じようなスキル作ってない?」となったのです。また、スキル自体の作成もClaude Codeベースで行っているため、後から「何がどうなってこうなったのか」が追えなくなりそうな不安もありました。
そこでスキルはBacklogのGitリポジトリで管理することにしました。ただし実際の案件にはそれぞれのプロジェクトのリポジトリが既にあるため、スキル用リポジトリを直接使うわけにはいきません。最終的には、スキル一式をGoogleドライブに切り出し、初回コミットを含むリポジトリの初期設定を行うバッチと一緒に配布する形に落ち着きました。新しい案件でも、バッチを叩けば社内標準のAI環境が整う仕組みです。
この「会社の資産となるスキルをどう管理・運用するか」は、この1か月で一番苦労したところです。メンバーが増え、プロジェクトが増え、Claudeが担う範囲が広がれば、また新しい課題が出てくるはず。ここは今後も改善し続けるつもりです。
一番反響が大きかったのはスライド生成
社内で一番効果と反響が大きかったのは、会社フォーマットのPowerPoint(パワポ)を出力する仕組みでした。職種を問わず、みんな何かしらで資料を作るので、効果の裾野が広かったのだと思います。
最初はスキルとして実装し、そこそこのものはできました。ただ、生成されるスライドのバリエーションが乏しい。増やす方法をいくつか試しましたが、消費トークンに対して出力の改善は大差なしという結果でした。
そこで、Anthropicが新しく発表したClaude Design(対話しながらスライドなどのビジュアル資料を作れる機能)をベースにした版を作りました。バリエーションとトークン消費は明確に改善。一方で、PowerPointに出力した際に図形を使っている部分がなかなかうまく出ず、ここは試行錯誤の末にうまく出るようになりました。……と思ったら今度は別の部分が変になったので、これは今後の課題です(笑)。
弊社フォーマットでのパワーポイントの出力



苦労したポイントとしては、よくある矢羽根表現がプレビューでは矢羽根なのにパワーポイントで出力した際に四角の図形になってしまう点がありました。
既存環境の分析から、実装・デプロイまで
Salesforceの既存組織を解析するスキルも作りました。オブジェクトやApexを解析して、どんなカスタマイズが実施されているか、客観的に見たときの問題点は何かを可視化できます。
このスキルは実案件でも活躍しました。顧客要件から基本設計を行い、実装はClaude Codeベースで実施。検討からデプロイまで通した案件では、顧客要件の提示と方向性の検討、全体を見た上での調整以外は、基本的にClaude Codeにやってもらっています。LWC(画面)の構築があったので、テストは自分で実施し、細かい修正や顧客目線での仕様決定は人間が担いました。顧客からの評判も良く、手応えを感じています(弊社のSalesforce支援の詳細はこちら)。
提案段階でも、顧客要件をDeveloper Edition(開発者向けの無償Salesforce環境)にデモ環境として実装し、動くデモを見せられるようになりました。
テスト自動化 — Salesforceで作って、別のSaaSへ横展開
テスト周りでは、画面のE2Eテストをメインに自動化するスキルを作りました。テスト計画の立案自体もClaude Codeで実施しています。
面白かったのは横展開です。HubSpot等他のSaaS向けにも、Claude Codeでスキルを作成した上で細かい調整をかけていく形で対応できました。初期段階でも結構な精度で動作していて、スキルという形に知見を固めておけば、別プラットフォームへの応用が速いことを実感しました。
雑談からシステム構成図へ — Cacoo連携
打合せの会話からSalesforceのオブジェクト構成を整理し、Cacooに取り込めるSVGとして出力するスキルも作りました。きっかけは「パワポにできるのはいいけど、ここからまた話をしながら詰めていくんだから、一回Cacooにしたいよね」という会話です。
これはSalesforceに限らず色々なものに応用が利きそうで、個人的にかなり有意義だと感じています。ゆくゆくは、Webミーティングの会話をClaudeが聞きながらリアルタイムにCacooへ反映される、なんてことができたら最高だなと思っています(笑)。
そして、この記事へ — WordPress MCP接続
最後に、この記事を書くきっかけになった取り組みです。WordPress公式のプラグインをベースに、社内利用に適した形でMCP(Model Context Protocol。AIと外部ツールをつなぐ接続規格)による連携を構築し、Claudeから直接ブログの下書きを作成できるようにしました。
まさに今やっているように、Claudeと話しながら記事の内容をまとめて、まとまった段階で「下書き作成して」と言うだけ。あとは軽く確認して公開まで持っていけます。WordPressを開いて記事を書くのは、エンジニア的にはどうしても腰が重い。でも普段から使っているClaudeで、思い付きベースで記事にできるようになった。この記事自体が、その仕組みで書かれた第一号です。今後の発信にご期待ください(笑)。
これから — AI DRIVEN FREEDOMへ
次にやりたいことは決まっています。E2Eテストのエビデンスをスクリーンショットとして保存できるようになったので、そこからユーザマニュアルやシステムマニュアルの自動作成をClaude Codeで実現したい。さらに、プロジェクト管理で使っているBacklogを日々巡回してのリスク分析や状況報告の自動化、打合せで決まった内容を課題として起票し、設計・実装・テストまで全自動で回す、といったことにも挑戦したいと考えています。
AIが人を自由にする世界 — AI DRIVEN FREEDOM。この1か月はその入り口に立った期間でした。試行錯誤の記録が、同じようにAI活用を模索している方の参考になれば嬉しいです。
Skillsは現在も拡大中!!
















